騎士の両親が死亡後は遺言に背き、祖父に引き取られる。貴族はほとんどが文盲。自分の名すら書けない。しかし騎士は二人の聖職者からのラテン語をはじめとする基礎教育を受けており、古典に対する理解力があった。祖父は政略結婚などによる領土拡大・財産拡大をする以外は孫の教育には無関心。騎士は従兄弟であるラ・トレモイユとの契約により乙女を監視していた。乙女は捕虜となった兵を惨殺されていく光景に衝撃を受け、告解の機会も与えられずに死んでいく兵の姿に深く嘆き悲しみ、ひれ伏して神に祈りをささげた。こぶとりで健康的ではあるけれどもけっして美しくはない少女。その少女がひたむきに祈る姿に、騎士は次第に魅かれていくものを感じていた。監視という役割から逸脱し、彼女の保護者の立場になりつつあるように思う。そんなある日、乙女が死んだ国を勝利へ導いた少女。騎士は一人、狂い、堕ちて行く。