このアルバムを聴いていたら、ふと「高校生の頃の私」を思い出した。誰もが通り過ぎた「あの頃」。それぞれが将来の不安を覚えながら毎日を精一杯生きていた。彼女の音楽で綴られているのは、そんな等身大の視線から見た世界である。そこから自分なりの答えを見つけ出し、歌い上げる。「とにかく笑って、頑張ってみよう Everything’s all right. Everything’s all right. それでもうまくいかないときは それなりに。」(2曲目「それなりに」より) 「Everything’s all right」という言葉は、この曲とラストの曲「わかっているよ」、どちらにも登場する。心配することなど何もないよ。これはリスナーはもちろん、少女から大人へと移り変わる時代を生きる自分自身に向けてのメッセージなのだろう。声とピアノの2つだけで成り立っているが、それを感じさせないほどに音は広がりを見せていく。彼女の若き才能を、今、堪能してほしい。(text by 碇 真李江)