影絵みたいな街並みを ぼんやり眺めてた真夜中 窓の外で静かに舞う 風が運ぶ古い匂い 机の上の白い紙に 触れた指が震えている 書き出した言葉の端が 夜に溶けて滲んだ 手紙を書きたくなった月夜に 夢と現実の境目で 零れ落ちる砂のように 過去と未来が崩れていく 何ひとつ届かないのに それでも紡ぐ言葉たち 月明かりに透ける夜を ただ君に渡したかった 記憶の中で生きる君は いつも振り返らないまま 僕を置いて遠ざかる そんな夢を見て目が覚めた インクの匂い、重ねる時間 夜は終わりを告げるけど 書きかけの言葉たちだけ ここに残る、息づいて 手紙を書きたくなった月夜に 消えかけた星が囁いた 「君はまだそこにいるのかな?」 問いかける声は風の中 届かない答えを探して 夜の端を彷徨っている この手紙が君に触れる日を 願いながら、書き続けた 指先から零れる砂時計 逆さにしても戻らない 幾千の夜を越えて 君の記憶が色褪せる前に 手紙を書きたくなった月夜に 君を想う痛みが募る 時の砂に飲み込まれても 君の名を忘れはしない さよならの代わりに残す手紙 誰も知らない宛先へ 月明かりに照らされた夜を 君と分け合いたかっただけ